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サツマ芋の生産農家 大木さん夫婦 品質向上で選抜を繰り返す

ちばの農業 ?最前線から 加藤三郎 (1995年9月26日)
畑でサツマ芋の葉をチェックする大木さん夫婦=大栄町で(写真下)
千葉県を代表するサツマ芋の産地である大栄町。長年サツマ芋を生産している大木八史郎さん(当時五一)、智恵子さん(当時五〇)夫婦は、二・六?の畑でサツマ芋を中心に大根、ニンジン、里芋を栽培している。
「畑仕事も機械化されてきましたが、一人でできるのは一?ちょっとです。増やそうと思えば、もっと増やせますが、マイナス面が多いんです。例えば、栽培面積を一割増やしても逆に収穫が二割低下することがあるんです。面積が増えた分、手抜きというか、手が回らなくなって収量が落ちてしまうんです。結局、何のために面積を増やしたのか分からないというジレンマに落ち込んでしまうのです」と八史郎さん。
大木さんが栽培しているサツマ芋の種類は、高系の千葉紅と紅赤系の金時。
現在、サツマ芋というとベニアズマが主流になっているが、訳があって大木さんのところでは栽培していない。
今から十二、三年前にベニアズマが作られ始めた。最初の数年は、製品率が九割近くという驚異的な数字だったが、四、五年目から連作傷害で製品率が落ちた。
「ベニアズマは甘く硬めで白い粉がふいて、年内はとてもおいしいです。焼き芋は温かいとおいしいですが、冷めると急激に味が落ちてしまいます。熱いうちに食べないとダメですね。ですから試験場の段階で、『ベニアズマは欠陥があるんじゃないか』と言われたんです。でも、あっという間に人気が出て、一流のブランド芋になりました。本当はもっと改良すべき点があったと思います」とベニアズマが、日本中を席巻した経緯を八史郎さんが語ってくれた。
今まのでサツマ芋は、こういう畑でないと作れないという基準が有った。 ところがベニアズマは、どこでも栽培できる。畑に比べて連作傷害、病害虫の少ない田んぼでも、味は悪いが見た目は素晴らしいものができる。
「どこでも栽培ができるというのは欠点なんです。ベニアズマには連作障害がかなり顕著に出ています。これに対して、私が作っている金時など、昔から栽培している種類は、肥料の吸収、収量が極端に落ち込むことはないんです。また、品質の維持・向上のために選抜をくり返して、いい苗を確保しています」
大木さんの畑で使う堆肥(たいひ)は、ゴルフ場から運んでくる落ち葉に、ぬか、骨粉、魚粉などを混ぜ合わせている。しかも一週間に一度、ぬかを入れて切り返している。「私のところでは、去年から来年用の堆肥を作っています、堆肥で八、九割くらい地力を補えればいい方ですね」と堆肥作りの大切さを力説する。
大木さんが心配していることがある。それは中国産の安いサツマ芋が、輸入される日が来るのではないかという恐れである。現在は、芋に付く害虫の問題があるので入ってこないが、この害虫を駆除出来る薬が開発されたら、百―二百倍近い価格差がある日本のサツマ芋は、風前の灯だ。
大木さんは、これからの千葉のサツマ芋栽培に提言をする。
「サツマ芋農家は、鹿児島、四国、茨城の優れた点を認識して、千葉県の進むべき道を模索しなければいけません、ただ地理的条件におんぶしていては、競争力をなくしてしまいます。いっそだれが生産したか分かる個選にすれば、消費者の生の声が生産者に返ってきて、必ず品質の向上につながります」
ウィークエンドファーム
千葉市緑区平山町1048